三崎の地にある日突然やってきた出版社。二階には美容室が・・・
編集長が運命を感じたという町は「サザエさんみたいな世界」でした。

 

東京都心から電車で1時間ちょっと。三浦エリアは海・山・川と自然に恵まれた土地。漁村の風情の残る三崎という町を訪れた。「三崎マグロ」と聞けばピンとくる人も多いかもしれない。

 

三崎口駅から下町商店街までの道のりは、意外にも畑が広がっていた。大根畑とキャベツ畑。「三浦大根」が有名。現在はお正月商材として冬季しか出回っていないらしい。

 

海の風、山の風を感じながら到着したのは、磯の香りのするノスタルジックな街並み。哀愁漂うスナックの看板、置き去りになった錆び付いたリヤカーもゆったりとした時間が流れる懐かしい佇まいをしている。

 

 

そんな町に出版社と美容室が一緒になった好奇心をくすぐる場所があるというのでお邪魔させていただいた。

 

「サザエさんみたいな世界」にある日突然できた、とある美容室。三崎という地に運命を感じた出版社の編集長が、町の魅力を教えてくれました。

 

 


 

宮瀬
美容室の名前の由来から教えてください
ミネ
花暮美容室。

三崎の下町の商店街が7つの地区に分かれている。全て三浦市三崎町という同じ町なんですけど、お祭りをやる時などに地元の人たちの呼び名がある。その名前が、うちが花暮という地区。あと日の出、入船、中崎、西海上、などいくつかある

それでお祭りで神輿を担ぐ順番を決めている。花暮という漢字がかっこいい、というのと、由来がここの場所から城ヶ島にかけて桜がもう何百年前の話ですけど、桜がいっぱいあって日が暮れるまで花見ができたっていう場所らしいんですよ。それで花暮っていう名前になったって。

 

宮瀬
めちゃくちゃ素敵じゃないですか!!
ミネ
そう。それめちゃくちゃいいなって思って、地元に根ざした美容院にしたいなっていうのと、花暮って地元の人みんな知っているんで、そのまま花暮+美容室っていうふうにくっつけちゃったっていう、ほんとただそれだけなんですけど。
宮瀬
なるほど、地名を使ったバージョンだったわけですね 笑

お洒落なネーミングを考案したのかと思っていました!!

 

ミネ
いやいや・・・三崎美容室っていうとなんかちょっと面白くもないし、たまたまこの場所が花暮だったんでいい名前だなって。
宮瀬
でも、そもそも逗子で暮らしていらっしゃって、そしてこちらに(三崎に)引っ越してこられて・・・決めてはなんだったんですか?

ミネ
決めてはですね・・・なんかやっぱり震災以降ローカルとか地方創生とかいろんなことが言われた中で鎌倉逗子に2009年に引っ越したんですけども、2011年以降すごく人が増えてきたし、観光地としても、もっともっと鎌倉が上がってきた感じがあったんですよね

そこの渦にずっといたんですけど、もうちょっとだけ田舎にいきたいなっていうこと、もうちょっとだけ離れて落ち着いて東京を見たいなって思いましたし、また違う地方も見たいなっていうのがあったので、三崎限定っていうのはなかったですね。

ミネ
東京の仕事も多かったので、ギリギリ通える範囲っていうのを、渋谷を中心にから70kmのコンパスを引いたんですよ。
そうすると、上は所沢、西は真鶴、南はこの辺三浦、東は千葉の房総の金谷とか木更津、富津とか、その辺を重点的に見てたんですけど、全然家賃があまり安くない、どこも。こんなに東京から離れるのに、なんかコストが落ちないのが納得できなくて・・・
たまたま一人だけ三浦の知り合いがいてその人に三浦どうですかって聞いたらいろいろ案内してくれて、その人がこの物件を借りていたんですよね・・・使っていないって言われて、「ちなみにいくらですか?」って聞いたら、「3万円」って!!
宮瀬
これでですか!?

ミネ
上も下も合わせて3万円。それは聞いたことないなって思って、どこ行ってもこれはないぞって・・・商店街の真ん中、観光地、目の前書店、うち出版社ってなったら、もうここしかないなって思って、その日に決めました。
宮瀬
運命感じちゃいますね・・・

ミネ
感じましたね。だから土地が好きになったからとかそういうことではなくて、ここがたまたま魅力的な場所でそれで決めてから住居を探しましたし、いろんな町のことも知るようになって
宮瀬
このお店ありきで始まった3年間だったわけですね・・・

どうですか?実際にここで3年間暮らしてみて。

ミネ
いやぁ、もうなんですかね・・・ほんと「サザエさんみたいな世界」が毎日繰り広げられていて!!

宮瀬
びっくりしたのがさっきも通りすがりのおじいちゃん、おばあちゃんが

「えっ、毎日会っているのかな」ってくらいの勢いで今日あったことを報告してくれる・・・本当に家族みたいな感じでしたもんね?

ミネ
そうですね。それは鎌倉逗子いた時でも味わえなかったことだし、地元にいても味わえなかった。東京にいた時も一切なかったので、やっぱりそういのがすごく楽しいし、昭和的なコミュニケーションっていう気がするんですよね。醤油の貸し借りが普通に行われてるし、まるいちの魚屋さんで猫が干していた魚をくわえて走って行ってそれを亭主が追いかけるみたいなのがそういうのが本当にあるんだなと思って。

それをみんな怒ったりもせず、馬鹿にもせず、ただ笑って見過ごすみたいなのがすごく楽しいし、ある意味その適当さ加減がすごく人間らしくていいなっていっつも思います。

 

 

 

#memo

#花暮 #サザエさんみたいな世界

——   怒ったりもせず、馬鹿にもせず、ただ笑って見過ごす。  その適当さ加減がすごく人間らしくていいな 。 ——